シャトー・プランケット - Chateau Planquette - [ ボルドー地方 メドック ]

- 二番通り酒店 -

“シャトー・プランケット”

ボルドー最奥の地で自分のワイン造りを貫いてきたディディエの果実味あふれるボルドー。

ボルドー地方メドック地区、サンテステフ村の北、近代的なシャトーに囲まれたボルドーの本場とも呼べる場所で有機で葡萄で栽培し、醸造もナチュラルな造りを尊重するディディエ・ミショー。メドックではおそらく他にはいない、貴重な貴重なドメーヌです。ナチュラルなワイン造りに対して他のドメーヌからの風当たりも厳しいだろうこの土地で、彼は30年以上、自分の信じるワイン造りの道を歩んできました。彼がこの地に辿り着いたのは1976年。まだほとんどの生産者が馬で耕していた時代だそうです。ディディエがワインつくりを始めたのは1981年。ある日一人の生産者が畑に除草剤を使い初めてから、その隣の生産者も使い始め、その後空中からの散布まで行われるようになりました。若き日のディディエもどういったものかを理解できないまま使用してみたそうですが、それがどんなものかであるのを理解するのに時間はかかりませんでした。変わりゆく畑だけでなく、それを使っている自分自身の体にも違和感を感じたそうです。ボルドーの近代化の流れを間近で見て来たディディエは現在57歳。奥さんと二人の静かな生活を大切に、わずか1.7haの畑と日々淡々と向き合っています。1998年から有機栽培に切り替え、ビオロジックの認証をとったのは2002年。時に近隣の生産者と熱い議論になることもあるそうですが、彼はワイン造りの信念を変えずに歩んできました。近代ワインの歴史の花形を飾ってきたようなメドックという地で、近代化の流れで失われてしまったといっても過言ではないかもしれない、その当時の自然なワインつくり、味わいを大切にするディディエのワインは、もっと多くの人に知られ賞賛されてしかるべきものなんじゃないだろうか、そう思いますがなかなか日の目を見ません。瓶詰め時の亜硫酸はここ数年は無添加ですが、もし必要であれば少量(瓶詰め時に0.5mgと)使うことがあります。そのためには、健全なブドウ、清潔なCave、清潔な醸造が何よりも大切なんだという彼のカーヴは、小さなカーヴですが隅々まで美しいです。2年間かけて樽熟成されるワインにはゆっくり呼吸をして欲しいと、樽試飲はほぼなく、樽と樽の間はゆとりをもって、二段三段と重ねずに、きれいに並べられています。プレスは木製のプレス機で約1時間丁寧に。完全無添加に切り替えたのは2001年だそうです。亜硫酸を使ったワインは彼にとって抵抗感のある仕上がりだったそうです。2006年はワインが雑菌に汚染され酢酸が微量あがってしまいました。周囲の人は売り物になると言ってもそれを良しとしないディディエは結局販売しませんでした。あと何年ワイン造りを続けてくれるか分かりませんが、そばに彼のワインつくりを理解する人が多くないことは想像に易い場所で、長い年月にわたり自分の道を貫き、この土地本来の味わいをつくり続けてきたディディエのワインは限りなく贅沢なワインだと感じています。

〜2020年に引退を決意しました〜
68歳と62歳の私たちが少し休む時がきました。そうシャトープラッケットのディディエから連絡があったのが2020年12月ことでした。ディディエは脳の、奥さんのキャシーは心臓に問題を抱えてきましたが、ディディエはとうとう左腕が麻痺してしまい、キャシーもまた状態が思わしくなく引退を決意しました。最後の出荷作業が私たちのコマンドになりました。体が限界のディディエを近隣に住む友人が手伝いに来てくれて出荷してくれました。世の中は時に不思議だと感じることがあります。もっと多くの人に知ってほしい思う人がこうして静かに引退していく。ディディエはどんな想いでワインをつくってきたのだろう。格付けシャトーがひしめくボルドーの本場とも呼べるメドック地区で、おそらく彼一人といっていい、ナチュラルな手づくりのワインをつくり続けてきたディディエ。風当たりも厳しかったかもしれないけどぶれることなく歩んできた40年間。こんなにも気骨ある生産者がメドックにいたことを一人でも多くの人に届けたい。そのチャンスは少なくなってしまいましたが、瓶詰めまで手がけた最後のミレジム2018年を一人でも多くの方と語り継いでいけますように。

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