ラ・ヴィーニュ・デュ・ペロン - La Vigne du Perron - [ サヴォワ地方 ヴィルボワ ]

- 二番通り酒店 -

“ラ・ヴィーニュ・デュ・ペロン”

静けさと力強さと...まるでピアノの旋律のように体に響くワイン

サヴォワ地方、リヨンとジュネーヴの中間くらい、標高300mに位置する素朴で小さなヴィルボワという村にフランソワ・グリナンのドメーヌがあります。村に入って真っ先に目に入る背後に広がる急斜面の美しい岩肌の山。夕暮れ時は岩肌がオレンジ色に輝き目を奪われるような美しい村です。フランソワは町の小道を突き当たりまでいった小さな家にひっそりと住んでいます。訪れるたび扉を開けると小さなピアノの上で楽譜と向き合うフランソワ。元はピアニストで今は畑仕事をしながら地元の子供達にピアノを教える先生もしています。村の裏に広がる山に入っていくと美しい森に囲まれた彼の美しい畑がありました。広さは2.8haほど。ブドウ畑が見渡す限りに広がるワイン産地と比べると、ブドウ畑よりも森の面積の方が圧倒的に多い場所。鳥のさえずりと森の香りが心地よいです。ただ急斜面の畑仕事はとても過酷で、物静かで紳士的なフランソワですが、長年畑仕事と向き合ってきた農家の人が持つ逞しさが伝わってきます。フランソワは1993年にお父さんの畑を引き継いぎました。ピアニストとして限界を感じてワインつくりの世界に戻ってきたそうです。それでもピアノへの情熱は消えることなく25年間ピアノの先生とヴィニュロンの二つの仕事を大切にしてきました。「ピアノで世界を旅することはできなかったけど、ワインを通じて世界の人と繫れることが嬉しいんだ」とフランソワ。畑を引き継ぐ前にボーヌの醸造学校に通い近代的なつくりを学びましたが、マルセル・ラピエールやピエール・オヴェルノワのワインつくりを見て、昔ながらの垂直プレスで搾り古樽で熟成して...シンプルだけどそれで充分に美味しいワインができるんじゃないかと思ったそうです。2019年からは息子のルイもワインつくりを手伝ってくれています。実はドメーヌはお爺さんの代から続いていてルイで4代目になります。フランソワのつくるワインはどこか静けさや素朴さを感じさせ、その奥に力強く宿る凛としたミネラルにハッとさせられます。加速するナチュラルワインシーンの中で時に糸の切れた凧のように大切なことを忘れがちになってしまいますが、フランソワに会うたびいつもナチュラルワインとはなんだろう...その深い大切な部分に立ち返らせてもらえます。

[ 戻る ]