ラ・コンブ・オー・レーヴ - La Combe Aux Rêves - [ サヴォワ地方 ビュジェ ]

- 二番通り酒店 -

“グレゴワール・ペロン

山間の小さな村で夢を持ってワインつくりに励むグレゴワール

リヨンから東へ車で1時間ほど。ジュルナンという小さな村でワインをつくるグレゴワール・ペロン。ビュジェという小さなアペラシオンでサヴォワ地方にくくられることが多いですが、フランスではサヴォワ地方はもっと東、より高い標高のアルプス周辺のあたりを指します。ビュジェ地方はサヴォワ、ジュラ、ボジョレー、ブルゴーニュに囲まれたこの小さなワイン産地です。周辺の産地の特性を少しずつ併せ持つ不思議なワイン産地だと感じています。サヴォワの土着品種モンドゥーズやアルテス、ジャッケール、ジュラ地方のプールサール、トゥルソーの他、ピノ・ノワール、ガメイ、シャルドネなど様々な品種が植えられています。標高は200~500mほどで春先は雨が多く、この気候もまたこの地方の独自性を生み出します。一言ではくくりずらい産地なだけに少しマニアック。その魅力が伝わりづらい産地です。山間に小さな畑が点在していて、グレゴワールの畑も小さな区画がドメーヌの周辺10ヶ所ほどに点在しています。彼は2009年にこの場所でワインつくりを始めましたが、2haの小さな区画であることに加えて冷涼な土地柄、収量も多くなく、買いブドウでもワインをつくっています。彼の手に入れた畑は元々は農薬を撒いていましたがすぐに有機栽培に切り替えて、今では草花が生き生きとしています。冬季は畑に羊を放すことでより自然調和のとれた畑へと変わりました。グレゴワールは22歳からブルゴーニュ、ジュラ、ボルドー、ローヌ、ニュージーランド、アメリカなど多様な場所でワインつくりの仕事をしてきました。その多くが畑仕事が主体です。彼の村にはワイン農家は3軒のみ。村からさらに離れてもワイナリーはほとんどありません。ワイン農家よりもその他の農業が多い場所でワインをつくるグレゴワールですが、自然豊かで静かな環境でワインをつくりたいと望んでこの場所に来ました。リヨン近くで生まれ育ちましたが、リヨン周辺の有名なワイン畑じゃなく、みんなと少し離れた静かな生活、ワインつくりの方が自分には合っているんだとグレゴワール。ワインつくりや生きていく上での哲学を尋ねると、あまり自分のことを語りたがらないグレゴワールは少し嫌がりましたが、奥さんに促されて「シンプルに生きること、自然体でいること。美しいブドウが収穫できればあとは自然のままに寄り添う、敬意を持つこと。あとは子供たちには自然のそばで四季を感じて育ってほしい。」そんな風に照れ臭そうに語ってくれました。「ワインつくりの中で多くの人と出会い想いをéchange"交換"できることは幸せだよ」とも。マイペースに淡々と、彼の思う美味しいワインをつくり続けています。この土地の自然と多様性を愛し、この土地の魅力をそのままワインに表現するグレゴワール。品種の多様性からくる味わい、環境がもたらす冷涼感、いろんな要素が入り組むこの産地の特性が、グレゴワールという一人の人を通して、なんとも心地よく液体の中でひとまとまりになっています。

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