エリコン - Helicon - [ ロワール地方 アンジュ ]

- 二番通り酒店 -

“エリコン

アンジュ地方に官能的で美しいミネラルをたたえたワインがまた一つ

ステファン・ベルナドウと同じマルティニェ・ブリナンという小さな村でワインつくりを始めたコンスタンタンと奥さんのラファエル。2018年にドメーヌを立ち上げ2019年が初ミレジム。フェイエ・ダンジュに1ha、マルティニェ・ブリナンに87r、合計してもまだ1.87haだけの小さなドメーヌです。マルティニェ・ブリナンの区画はステファン・ベルナドウから譲ってもらったレゾングレ"Les Ongles"という区画。ステファンの元に収穫に来た時にレゾングレの区画を少し譲ってもらえることになったそうです。ファイエ・ダンジュの畑はゲピエール"Guêpière"という区画で2020年にワインつくりをやめたグザビエ・マルシェから購入しました。パリで人材コンサルティングの仕事をしていたコンスタンティンですが、人生を大きく変えたい、自分のすきなことをしたいとワインつくりの仕事に。ロワールでつくられるワインが好きだったそうです。まだワインだけ生計を立てるには難しい面積で、ここ数年の不作の影響もあり、今もパリで仕事をこなしながら、戻ってきては畑仕事をする生活を続けています。2019年の初ミレジムのワインからすでにエネルギッシュで真っ直ぐなミネラルを感じる液体に驚かされました。コンスタンタンは亜硫酸を添加しないワインをつくる前に、ミネラルとテロワールがしっかり表現されたワインをつくりたいと言います。近くにステファンがいることで相談することも多いそうです。今彼らが持っている2区画のワインもそれぞれのテロワールが丁寧に表現されています。訪れるカーヴィストやレストランの人たちからステファンの再来みたいに言われるのはちょっと勘弁してほしいと苦笑いをしています。真面目で論理的な性格はどことなくリシャール・ルロワにも通じる部分があるなと私たちは思いますがそんな話も苦笑い。すでに液体から感じるエネルギッシュなミネラルが表現されたワインに、私たちを含め周りが先走りすぎてしまうのが分かる気がしますが、自分たちは自分たちのスタイルを見つけて自分たちのワインをつくりたいとコンスタンタン。エリコンといドメーヌ名は、シノン生まれの美食家としても有名な作家フランソワ・ラブレーの1552年のLe Tiers Livreの一節からとったそうです。<< Attendez un peu que je hume quelques traits de cette bouteille : c’est mon vrai et seul Helicon : c’est ma fontaine Caballine, c’est mon unique enthousiasme. >> このボトル(ワイン)の香りを嗅ぐまでほんの少し待ってもらえませんか。私の唯一の本当の楽しみ(Helicon)なのです。私にとってのCaballineの泉、他にはない情熱なのです。どこか官能的なニュアンスを秘めたHeliconという言葉に彼らの想いをのせて素晴らしい生産者がまた誕生したと感じています。

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