ユーゴ(ギィラルデル) - Ugo (Guirardel) - [ 南西地方 ジュランソン ]

- 二番通り酒店 -

“ユーゴ(ギィラルデル)

ジュランソンの大地・気候・品種のポテンシャルを最大限に引き出す造り手。

南西地方、ジュランソンの山奥にひっそりとあるドメーヌ・ギィラルデル。遠くにピレネー山脈を見渡す美しい一枚畑はハッと目を奪われるほど美しい畑です。この一枚畑は16世紀にまで遡る歴史を持つドメーヌ・ギィラルデルの自慢の一枚畑。現在の当主であるフランソワーズは15代目の女性当主です。もともと15年間エンジニアの仕事をしていましたが2008年からドメーヌに戻り、夫のピエールと共にドメーヌを引き継ぎました。夫のピエールも元同僚でエンジニアです。元エンジニアの彼らは工業製品の在り方に対しての疑問もありつつ、その良い部分も取り入れて、彼らならではの目線で自然なワイン造りに取り組んでいます。地質や醸造においてもさすが元エンジニアと思うほど豊富な知識をすでに身につけ、合理的かつ情熱を持って畑仕事と向き合います。有機栽培に切り替えたのはフランソワーズとピエールが戻ってきてからのこと。ここジュランソンに植えられている品種は、プティ・マンサンとグロ・マンサン。南のピレネー山脈、西の大西洋の影響を大きく受けるこの地は、雨が非常に多く常に雨との戦いです。水分を多く吸収し、よく熟すこの土地では古くから蜜のように芳醇な味わいの甘口ワインが造られてきました。逆に熟したブドウを収穫しセック(辛口)のワインを造ろうとすると、ブドウの糖度が高すぎて発酵し切らずに残糖が残るので、セックなワインを造る際にはブドウが完熟する前に早摘みをするのですが、そうすると蜜のような芳醇な香りと味が損なわれてしまいます。彼らはこの地方の遅摘みのブドウが持つ蜜のようなボリューム感を損なわずに辛口のワインを造りたいと思い、ドメーヌに戻った2008年から日々試行錯誤を繰り返してきました。それは畑仕事、剪定や収穫のタイミング、醸造にいたるまで、科学的な観点から非常に熟考がなされています。畑仕事においてはロワール地方アンジュのリシャール・ルロワに影響を受け、リシャールとコミュニケーションをとりながら情熱を持って畑仕事に向き合います。このジュランソンという大地・気候・品種が造り出す力強い味わいを最大限に表現するために、知識を積み重ね、畑仕事と向き合い、そうして造り出される彼らのワインは今までのジュランソンワインのイメージを変える革新的なワインになりつつあります。さらにリッチな仕上がりのワインにまろやかさと複雑味を与えるため、彼らのワインは常に樽で、タンクで、瓶詰め後も、数年かけてじっくり熟成してから出荷されます。この土地ならではのダイナミックで活き活きした蜜と果実のニュアンスが液体の中にほとばしる、美しい黄金色のジュランソンワインをぜひ味わってみてください。

〜UGOとして再スタート〜
2008年にドメーヌに戻って以来、努力やリスクを惜しまずにワインつくりを続けてきたピエールとフランソワーズ。2012年に有機栽培に切り替え、肥料や土壌改良をやめ、摘心をせず必要最小限のボルドー液(1年に1haあたり1kg以下)と硫黄のみで畑に自然循環を求めてきました。醸造においても完熟したジュランソンのブドウを完全発酵させるためカーヴへの投資も惜しまず、現在は自然酵母のみで酸化防止剤を使わずノンフィルターでワインをビン詰しています。カーヴでの熟成、ビン詰後の熟成期間の長さも彼らの情熱の表れです。畑仕事においても醸造においても妥協なく歩んできた彼らが今感じていることは、現在植えられているクローンのブドウが本当に本来の味わいを表現しているのか、ブドウのみを栽培するモノカルチャーは大きな視点で見た時に本当に自然と寄り添っているのか、そして自分たちの生き方、何を次世代に残し伝えていけるのか...。多くの自問自答の中で、彼らは2019年、15代続いたジュランソンのドメーヌを手放し、バスク地方「Uhaguneko Eihera」という場所で新たなスタートを切ることを決意しました。今のドメーヌから大西洋寄りへ100kmほどの新たな場所で、彼らの思う「生きるとは、農業とは、ワインつくりとは」をさらに追い求めます。並大抵の決断ではないと感じています。もとより感じていた彼らのとどまることのない探究心はより深くへと向かっているのだと思いました。間違いなく素晴らしい、そして目の離せない彼らの新たな冒険になるはずです。新天地はとても古い美しいムーラン(水車小屋)です。Uhaguneko Eiheraというバスク語の地名を略したUgo(ユーゴ)が新しいドメーヌ名になります。ギィラルデルで熟成していたワインもすべて自分たちの手で新しい場所に運び、さらに時間をかけて熟成します。新天地に移動してから出荷されたワインにはすべてUgoの名前がつけられます。ユーゴのこれからの進化に注目したいです。

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