フォンテディクト - Fontedicto - [ ラングドック地方 コー ]

   

“フォンテディクト

ワインは生き方をも映し出す。どこまでも深い、哲学のワイン。

ラングドックのコーという村のはずれにある小さなドメーヌ。ベルナールと奥さんのセシルが二人三脚で歩んできた、多くのつくり手から尊敬され、信頼されてる生産者です。元々は子供達のために無添加のブドウジュースをつくっていました。夫婦ともに趣味はパンつくり。天然酵母でつくられる彼らのパンは、口コミで広がり近隣の村の人たちがわざわざ買いにくるほど美味しいパンです。週末は少し離れた街のマルシェでパンを販売。賑やかなマルシェの中心から少し離れた一角で、志を同じくするこだわりを持った有機の野菜を育てる数軒の生産者と小さなマルシェを形成しているのはいかにも二人らしいです。彼の家のまわりにある3haほどの畑には小麦なども植えられています。最近はブドウ栽培の面積が減って小麦の栽培面積が増えました。少し複雑な気持ちではありますが、彼らのパンつくりへの愛を感じます。ベルナールが畑を案内しはじめると、一緒に猫や犬も彼の後をおいかけてきます。馬で耕すブドウ畑はふかふかのベットのように柔らかく、多種多様な植物がたくさん。フランスで指折り数えるほど美しくオーラのある畑です。彼の家の向かいにあるカーヴはクラシックが流れ、彼らの人柄のようにゆっくりとした時間が流れています。ベルナールは現在ワインつくりからは引退し、セシルがドメーヌを運営しています。ベルナールもワインつくりの手伝いは続けていますが、現在は陶芸に情熱を注いでいて、カーヴ内には彼の作品が美しく並べられています。ステンレスタンクで納得する味になるまで静かに熟成されているワインたち。あまりに長く熟成させる時は、周りの生産者からそれでは商売にならない...と変人扱いされるほどです。そして熟成を経て瓶詰されたワインは、ブドウの生命力を感じ、瑞々しさを残したまま、素晴らしいワインへと変貌を遂げます。ベルナールがこのブドウ畑を購入した時、現在の彼らが住んでいる家は小さな廃屋だったそうです。それを自分達で手作業でリノベーション。今では立派な二階建ての家になりました。カーヴも自分達で建て、パンの釜も手作業でつくり、野菜もほとんど自分たちで育てています。自給自足のレベルが高すぎて思わず目を丸くしてしまうような二人の生活。ベルナールとセシルからは、ワインの素晴らしさだけでなく、人としての生き方、哲学を学びました。寡黙で穏やかなベルナールは誰に対しても寛容、元気で優しい奥さんのセシルは時に厳しさもありますが愛に溢れた女性です。彼らの届けてくれるワインは私たちにとって哲学のワイン。目を閉じてゆっくりと液体を感じたい...深く深くへと誘ってくれる味わいです。

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