フランソワ・サン・ロ - François Saint Lô - [ ロワール地方 ソーミュール ]

   

“François

何にもとらわれない自由な精神で、独自の世界を表現するフランソワ

ソーミュールとアンジュの中間くらいにあるベリという小さな村で2012年からワインを造り始めたフランソワ。2012年に出会った時はドレッドヘアーにヒッピーのような服装と印象。洞窟のような小さなカーヴでワインを造っていました。私たちも2012年にスタートして一緒に歩んでいこうと話したのがすごく昔のように感じます。彼の造るピュアな味わいのワインは年々着実にファンを増やしています。フランソワのドメーヌ周辺は、そばにあるアンジュ地方に比べてクラシックなワインを造る生産者が多く畑を手に入れるにしても難しい土地ですが、着実に自分の畑を増やし前進しています。2016年には絵本に出てきそうなより大きな洞窟の地下カーヴに引っ越しました。まるでアリババの洞窟のような訪れた人たちが感嘆するほど美しいカーヴです。カーヴの上にある家を改築して、妹のジャスティンも同じ村に住みはじめました。妹のジャスティン・サン・ロはイラストレーターで、フランソワのエチケット、そしてワイン造りの深い世界を描いた「Pur Jus」(著:fleur godart)という本のイラストも描いています。今では自分よりも有名になってしまったとフランソワが照れ笑いするほど名の知れたイラストレーターになりました。 彼のドメーヌの周辺には他にもミュージシャンやアクセサリー作家、フロマージェリーやブリュワリーなど情熱を持った多彩な仲間たちが集まり、彼の住んでいる小さな村は熱を帯び始めました。フランソワの元を訪問すると、いつもたくさんの仲間が集まってきていつの間にか外で大きなテーブルを囲んで青空の下で陽気で楽しい宴になります。この村を知って欲しい、畑やカーヴを見て感じてほしい、一緒にテーブルを囲んで欲しい、時間はいくらあっても足りないから泊まっていって欲しいとフランソワ。彼がワインを通して伝えたいもの、彼のワインから伝わってくるものは、こういった彼の日々の生活の中にその本質を感じたりします。フランソワが大きく感銘を受けた造り手はオリヴィエ・クザンだそうです。オリヴィエの息子のバティストとも親友です。ワイン造りはもちろんですが、何よりもオリヴィエの自由で何にもとらわれない力強い生き方の哲学が大きくフランソワに影響を与えている気がします。そしてオリヴィエとはまた対照的なリシャール・ルロワへのリスペクトがあるのがフランソワらしいです。リシャールのひたすらワイン造りの高みを目指す突き詰めた強い意志。遠方の畑を手放し近くの畑に集中し、カーヴの近くに新しいブドウを植樹、馬で耕し始めるなどより没頭する畑仕事、新樽や新フードルを買い足し熟成期間をより長くとるなど、フランソワのワイン造りにも同じ精神を感じるのです。野性的でいて理性的、生きる喜びや楽しみの中に誰よりも真剣な未来を見据えるフランソワ。彼の何にもとらわれない自由な精神、自分の道を信じ独自の世界観を積み上げる彼のワインは唯一無二のワインへと日々進化し続け、ワインを愛するものとして彼のワインから目が離せないのです。

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