ジュリー・バラニー - Julie Balagny - [ ボジョレー地方 フルーリー ]

   

“ジュリー・バラニー

どこまでも自然体なジュリーの感性とともに伝わるボジョレーの美しいテロワール。

2009年にボジョレーのフルーリー村にやってきたジュリー。ワインつくりを始めて10年ほどですがボジョレーで指折り数える素晴らしい生産者へと成長しました。パリ生まれでパリで育ち。大人になるにつれ都会から離れたい、パリを出たいと思っていたそうです。そんな中で21歳の時に南仏ペルピニャンに移り住み、ワイナリーで5年間働きました。「そのワイナリーはBIOじゃなかったけど、近くにあった有機栽培の農家がつくる野菜を食べた時に、体に染み入るのを感じ自分が元に戻るような感覚を覚えたの。」とジュリー。その後ペルピニャンを離れて、ニームの野菜農家がブドウを植える際にジュリーがその仕事を任されることになりました。自分でやるなら有機のブドウを育てたい、ナチュラルなワインをつくりたいという思いにオーナーも共感してくれたそうです。ニームでは運命的な出会いがありました。マルセル・ラピエールやイヴォン・メトラ、ミシェル・ギニエなどのボジョレーの生産者たちがやってきて、彼らと話す中で考え方や哲学に共感し、彼らのいるボジョレーでワインつくりをしたいと思いました。ニームでは5年を過ごし、その後ボジョレーでブドウ畑を探し始めます。ただ女性が畑仕事をすることへの偏見もあったり畑を見つけるのは大変さもありましたが、その時にニームで出会ったミシェル・ギニエやイヴォン・メトラが大きな手助けをしてくれたそうです。彼女が今持っているフルーリーの畑と出会った時のことをジュリーは「畑の石を見た訳じゃない、土壌やブドウの樹をじっくり見た訳でもない、ただ目に飛び込んでくる自然に囲まれた畑の心地よい景色・空気、それだけがハートにビビッと響いたの。」と話してくれました。私たちがフランスで出会った誰よりも自然体で、気取りのない生き方が伝わってくるジュリー。そんな彼女の自由で伸びやかな感性が伝わってくるエピソードです。フルーリーの畑は3区画に分かれています。En Rémont(アン・レモン)、Cayenne(カイエンヌ)、Simone(シモーヌ)。区画ごとに土壌が少しずつ異なり、テロワールを表現するために醸造はすべて同じ。それぞれの区画のミネラルが丁寧に表現されています。そのミネラルに加えて彼女の自然体な生き方や感性から来るのか、柔らかく透き通るようなピュアさがあり、完成された人間なんていないのと同じように、長所も短所もある生きた人の表情を感じるかのような世界観にハッとさせられます。フルーリーの葡萄畑は3.2haですが、それ以外にも牧草地2ha、森林3haも一緒に手に入れました。ブドウ畑と森林が自然循環を支え合い、牧草地が動物を養い、土壌に肥料を与える。ブドウ畑にとらわれない広い視野で畑仕事と向き合っています。2015年にはボジョレー・ヴィラージュとムーラン・ナ・ヴァンの畑を少しだけ増やします。カーヴと自宅はフルーリーの隣町ロマネッシュ・トランに構えています。最近では畑仕事にはロバのロリータが荷物を運んだり収穫の手伝いをしてくれたり、敷地内には鶏や羊も飼い始め、動物たちを愛おしそうに見つめるジュリー。自然体な生き方は私たちが2012年に出会った時から変わらず。C'set la vie「これが人生さ」というのはフランスならではの言葉ですが、ジュリーのワインからはそんな空気がめいっぱい伝わってきます。

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