ル・カゾ・デ・マイヨール - Le casot des Mailloles -  [ ルスィオン地方 バニュルス ]

   

“ル・カゾ・デ・マイヨール

若き青年ジョルディによって進化するル・カゾ・デ・マイヨールの物語

フランスの南、スペインとの国境付近に位置するバニュルス。目下に望む美しい海の絶景とは裏腹に、働くのには過酷すぎる急斜面でのワイン造り。強い海風にこの土地特有のミストラルという強い地方風が時に立っているのが困難なほど吹きつけます。こんな所にこんなにも葡萄畑が広がっているのかと先人たちの仕事に畏敬の念を抱きます。偉大な造り手アラン・カステックスとパートナーのジスレーヌが1994年から続けてきたドメーヌ「ル・カゾ・デ・マイヨール」が、2015年にジョルディ・ペレスという青年に引き継がれました。痩せた大地は平均収量が10hl/ha。少量生産ながらも圧倒的なテロワール、そしてナチュラルな精神をリスペクトしてつくられるワイン。知るひとぞ知るドメーヌです。アランとジスレーヌの長年にわたる真摯な畑仕事とこの土地が持つ偉大なテロワールが合わさり、生産量が少ないながらも、幸運にもその液体に触れた人たちを感動させ虜にしてきました。もちろん私たちもそうです。ジョルディは2010年にボルドーのシャトー・ベル・シュバル、2013年には南仏のワイン産地Fitouのドメーヌで働いていました。クラシカルなワイン造りも学びつつ、その中で幸運にもアランとジスレーヌに出会い、ル・カゾ・デ・マイヨールの3ha少しの畑とカーヴ引き継ぐことになりました。バニュルスの海沿いの急斜面の丘に1区画、山側の急斜面にも5区画あります。どの区画もシスト土壌で足下もおぼつかず、トラクターも入れない急斜面の畑仕事は全て手作業。しかしラグビーをしていた屈強な体格のジョルディにはその体力を発揮するには最適な環境とも思えます。ちなみにアランもラグビーが大好きです。初ミレジムの2015年は、アランに畑仕事や醸造を見せてもらいながら。アランの哲学を学びました。2016年と2017年は非常に暑い年で難しさもありましたが、2018年からは暑さにもうまく適応した醸造ができているとジョルディ。味わいが年々洗練されていき、美しいテロワールが液体に表現され、彼の感性と畑との距離がぐっと近づている気がします。アランは「ジョルディのワインは自分がつくるよりも繊細で美味しいよ」と笑顔で話してくれます。二人は共通の趣味であるラグビーの試合を一緒に観戦したりするなどとても良い関係です。あまりにもアランの存在が大きく、引き継いだ後には少し不安もありましたが、今は引き継がれるべき人に引き継がれたと感じています。ル・カゾ・デ・マイヨールのワインとは何か。おそらくジョルディはその意味を深く掘り下げ感じているはずです。時に繊細で詩的な文章を使うジョルディ。そんな彼の美しい感性がル・カゾ・デ・マイヨールの畑、ワインにさらなる進化を与えていると感じています。素晴らしい青年に引き継がれた偉大なドメーヌ「ル・カゾ・デ・マイヨール」の第二章が始まっています。それを毎年追いかけれることが心から幸せなのです。

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