レ・ヴァン・デュ・カバノン - Le vins du Cabanon -  [ ルスィオン地方 トルイヤ ]

   

“レ・ヴァン・デュ・カバノン

伝説アラン・カステックス。

南仏のナチュールの父、バニュルスの偉大な巨人...多くの敬称で呼ばれるアラン・カステックス。そして現在、多くのつくり手から深い愛と敬意を込めてパパ・カステックスと呼ばれています。私たちにとってもパパ・カステックスです。パートナーのジスレーヌと長年続けてきたバニュルスのドメーヌ「ル・カゾ・デ・マイヨール」。少量生産ながら圧倒的なテロワールと存在感のあるワインは幸運にもその液体に触れることのできた人たちを虜にしてきました。知るひとぞ知るドメーヌです。そのル・カゾ・デ・マイヨールを2015年に若き青年ジョルディ・ペレスに譲り渡しました。アラン自らはレ・ヴァン・デュ・カバノンの名前で、バニュルスから北、ペルピニャン近くのカニグ山に面したトルイヤという場所でワインつくりを続けます。本人は自分はもう引退した身だと冗談交じりに言いますが、アラン・カステックスという人がつくるワインはいまもなお多くの人を魅了し続けています。バニュルスの険しい斜面での、長年にわたる過酷な手作業での畑仕事の年季が、彼を目の前にするだけで伝わってきます。まるで大地と話しているような感覚を覚えるほどです。レ・ヴァン・デュ・カバノンとしてワインつくりを続け始めた当初はバニュルスの小さな民家の小さなガレージにカーヴを構えていましたが、現在はトルイヤのそばにカーヴを構えました。シスト土壌のバニュルスの畑に比べて、粘土質の多いトルイヤの畑仕事はまた彼にとって新しく学ぶことも多いそうです。アラン・カステックスという人は、本で勉強した知識よりも、自身が畑で身を持って経験してきたことと嗅覚を元に畑と向き合う人だと私たちは感じました。本や受け売りの知識を目の前にある他のどこでもない自分だけの環境の畑に当てはめても、必ずしもそれが正解とはならないはず。アランは目の前の畑と常に真剣に向き合い試行錯誤を重ね、人よりも遠回りをしてきたからこそ、そうしてきた者にしか感じ取れない感覚を持っていると私たちは感じています。だからこそ新しい環境においても彼は常に真剣に向き合っています。これだけ尊敬される身になっても間違えを恐れません。自然派ワインを愛する人を魅了してやまないアラン・カステックス。それは偉大なつくり手というだけでなく、彼の自由奔放でいて、いつも愛らしい笑顔で逞しく人生を歩み、優しい瞳で真剣に畑と向きあう姿に魅了されるからだと思います。ヴァンナチュールの神髄が彼と彼の生き方にあります。

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